助産師とは出産の手助けをする仕事。
その助産師さんが『10歳からの子育て相談』とはどういうことだろう?と手に取ったこちらの本。
著者は、和歌山県田辺市で坂本助産所を主催している助産師さん。
御年93。
90代で現役と言えば、先日読んだこちら↓の本を思い出します。
戦争で生き延びた方は、生命力が強いのでしょうか。
仕事や生きがいを持っていると長生きできるのでしょうか。
さてさて、著者の助産院には、妊婦や産後のお母さんだけでなく、子どもが小学校にあがっても、中学校にあがっても、高校にあがっても悩みがある人がやって来るのだそう。
子育てをしている人にとってのよろず相談所。
いろいろな相談にのる中で、産後の次にお母さんにとって大きな悩みを抱えやすい子どもの思春期の時期の話を書きたかった、とのこと。
今の赤ちゃんは進化している!?
70年もお産に携わってきた著者。
とりあげたあかちゃんは4000人以上!
その著者が、赤ちゃん自身が進化しているのを肌で感じているそう。
昔は生まれてすぐはぎゅっと拳を握りしめる子ばかりやった。
今は首がすわるのも、立つのも早まってきてる。
子育ての基本は普遍的な事が多いけど、赤ちゃんの進化にあわせて、子育てに対する考え方も変えていかんと、お母さんがしんどいように思います。
だから今は、「なんとしても三歳ぐらいまでは常に一緒にいてやらなあかん」と、働きに出たい気持ちを抑えたり、働きに出たとしても罪悪感を抱えなくても良いと、三歳児神話を否定しています。
以前読んだ諸富祥彦さん↓と一緒ですね。
三歳児神話は否定していますが、一方で産後1年間は集中して愛情を注ぐことが重要、と。
「産後1年間集中して愛情を注いだら、その子に自己肯定感が宿る。そうしておけば、その後の子育ては安泰や」
自己肯定感が育たなかったら?
でも、子どもに自己肯定感が育ったかどうか、なかなか分からないですよね。
育てた時期の親の心持ちが知らず知らず子どもに影響している、こんなケースも。
相談に来る人の中にもね、お姉ちゃんはものすごいええ子やけど、妹さんはどうにもならんのやっていう人がいる。
私が「穏やかに育っているっていうお姉ちゃんの小さい時分にはあなたの生活はどうやったん?」って聞くと、ご主人もまあ順調に仕事してたし、時分も仕事してたし、ほんわかムードで子ども産んで育てたって言う。
「そやから子どももほんわか育っていったんやな。そやけど妹さんの時にはどうやったん?」って聞くと、お父さんが荒れて、ギャンブルに力が入って家の事もあんまりせんかったって言う。
そしたらお母さんの気持もいつもカッカカッカしているでしょ。
だからカッカカッカした子が育つ。
結局それは子どもが悪いんじゃなくて、そういう状態で育ったからや。
じゃあ、自己肯定感が育たず、思春期になって子どもが荒れしまったらどうするのか?
自分に原因があるやって分かったらね。
あとは、言葉に出して言うことないから、もうその子の後ろ姿にいつでも拝んでね、「お母さんが悪かった。すまなんだ。こんな気持ちでおったのが、あんたにものすごう影響したんやなあ」って。
それをずっと繰り返していたらね。
フッと気づいたときに、自然に穏やかになってるってことが多い。
実際に、これを実践したご家庭の子は、その後気持ちを立て直して、結婚してまともな生活を送っているそう。
結局は、親自身が変われば子どもも変わる、と。
こちらの本も、以前読んだ北斗晶さん↓と同じく「自分が変われば周りも変わる」ということを全体を通して説いています。
こちらの本、文字が大きく、話口調の文体なので、さらっと読めます。
さすが70年もいろいろな家庭と関わってきたので、アドバイスが本質を突いていて納得できることばかりです。
ただ、もう少し実例が欲しかったですね。
概念的な話も多いのでなかなか頭に残りにくい印象でした。
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