タイトルを見て、どんな凄い人の実例が出てくるのかしら?と期待して手に取ったこちらの本。
読んでみたら、5歳から準備を始めてハーバード大学へ行った人の話でもなく、ハーバード大学進学のためのハウツー本でもありませんでした。
著者は、12歳で家族と一緒に渡英し、カリフォルニア大学バークレー校、 ハーバード大学、ケンブリッジ大学などの大学・大学院を卒業し、日本に帰国後、スペースアルクに役員として入社、その後、アルクの孫会社として株式会社ヒトメディアを立ち上げ代表取締役就任。
Wikipediaによると、著者ご自身は、大学は、ハーバード大学ではなくカリフォルニア大学バークレー校。ハーバードは、大学院に入学して教育学の修士号を取得した、ということのようです。
こちらの本では、いかにも自分はハーバード大学OB!という感じで書かれているので、東京大学ではなく、大学より入学難易度の低い東大大学院を卒業して、東大卒と名乗っているヒトに近いものを感じました・・・
経歴はさておき、著者が日本の教育を心配し、グローバル人材を育てるためにどうしたらいいか、真剣に考えているのが、この本から伝わってきます。
ハーバード留学にヒントを与えてくれそうな各方面の著名人にインタビューするという形式で、グローバル人材の育て方を探っています。
結局、正解はありません。
著者も暗中模索状態です。
インタビューの中から自分でヒントを見つける感じでしょうかね。
インタビュイーの面々
インタビューされているのは、灘高からハーバード大学へ進学した北川拓也さん、灘高から東大へ進学し、ハーバード大学との交換留学制度を経験した城口洋平さん、㈱アルクで留学部門に携わっている星野達彦さん・清水恵子さん、現在は日本の保育園に通っている子供をアメリカで教育を受けさせることに決めた国際結婚ご夫婦、幼児教育で有名な伸芽会に勤める桑名高志さん、若きリーダーの育成に力を入れている参議院議員の鈴木寛さん、保育園経営者の菊池政隆さん、S&Sインターナショナル・キンダーガーデン社長の中村かず子さんの9名。そして、森田正康さんのお母様からは手記という形で意見が寄せられています。
一人の意見でなく、多数の意見を一冊の本で知ることが出来るという意味では、貴重な本ですね。
幼児期から英語教育をしたほうがいいという意見の一方、12歳までは不要との意見もある。
5歳の子どもたちが英語でDNAを説明したり、環境問題について議論できたりするキンダーガーデンが存在する一方、国際結婚で母国語が英語の母親を持っていても、日本の保育所で育つとなかなか英語をしゃべろうとしないため、アメリカへの移住を検討している、というケースもある。
この本を読んで感じたのは、子供が将来、軸足を海外において活躍して欲しいと願うなら幼少期からの英語教育が有効で、イヤイヤそこまで考えていない、というのなら子供が自発的に英語を勉強するのを待っても遅くないのかな、ということ。
実際、12歳の時に家族でアメリカに渡った著者は日本に戻ってきた一方、幼少期を英語圏で過ごした弟さんは「日本の文化にはアジャストできない、日本人は笑ってばかりで本心で何を考えているのか分からない」と言っているそう。
各国の大学・大学院で学んだ著者は相当英語力は高いと思いますが、やはり12歳まで過ごした日本文化が染み付いているのでしょうね。
軸足を日本に置いて活躍されることを選択されています。
海外での活躍を視野に入れた教育環境を整えてあげるかどうか、今が考えどきなんだなぁ。
印象に残った所を備忘録として引用させていただきます。
S&Sインターナショナル・キンダーガーデン社長の中村さんのお話。
5歳で英検2級を取る子どもたちもいますけど、3級または4級までの子供もいます。
高校生が受験するレベルを5歳でと願うなら、まずこれは「当たり前のことではない」という親の認識が必要です。
違いは親の計画性。
例えば英検2級に必要な語彙数はどれくらいか。
それをどのくらいの時間で覚えさせなければならないか。
1日に何時間学習する必要があるのか。
そういうことをきちんと計算して計画的に学習させていくことができるかどうかです。
それに英語をただ勉強すれば良いわけではなくて、英検を取るためには政治や経済についての知識も必要になります。
そこまでを計画に含んで学ばせる必要があるわけですから、やはり親は相当計画的に努力しなくては達成は難しいでしょう。・・中略・・
(ハーバードの北川さん、東大の城口さん、著者の森田さん)違うようでいてみんな同じですね。
たぶん3人に共通していることですけど、親からやらされた感じはないでしょう?
それが3人のご両親はうまかったんだと思いますよ。
子供ってやはり親からやらされていることに気付いたら、急にやる気を失うものでしょ。
よく自分の見栄のために子供に英才教育を課す親っていますけど、1歳の子供だってそういう親の見栄って分かるものなんですよ。
親が計画性を持ってどれだけ環境を整えられるか。
しかも、子供が自ら楽しんでやれるほどに子供のやる気を引き出すことができるか。
S&Sインターナショナル・キンダーガーデン社長の中村さんのお話が、今の私には一番響きました。
ちなみに、このS&Sインターナショナル・キンダーガーデン、どんなスゴイ幼稚園なんだろう?と調べてみた所、今は「横浜バイリンガルエデュケーション」に名前を変えていて、社長である中村さんのお名前もなく、校長に就任する予定だと書かれていた著者の森田さんのお名前もなく、トップが誰なのか全然見えない状態でした。
共働きの家庭には、選択肢として難しそうですが、英会話教室より身になる英語教育が行われていそうです。
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