アドラー的教育の経験者が語る!/『「自分から勉強する子」の親の言葉』レビュー

精神科医であり映画監督であり、文筆家でもある和田秀樹さん。
幼児教育にも熱心で、「I&C ・キッズ・スクール」という英才教育型保育園を東京に開校されたりしています。
以前、『「東大に入る子」は5歳で決まる』という著書を読み、だいぶ感化されました。

自信の育て方/『「東大に入る子」は5歳で決まる』レビュー
就学前の時期に、小学校3年くらいまでの知識をつける先取り教育をしよう!という驚きの幼児教育論。東大医学部卒の和田秀樹さんが説く子育てとは。

今回はアドラー心理学にも言及した本があるということで読んでみたこちらの本。

和田秀樹さんご自身は東大医学部を卒業して医師、弟さんは東大法学部を卒業して弁護士資格を取得。
その学力の根底にあるのは、「母親の暗示」と解析されています。
アドラー心理学を知らなかったであろう母親が、はからずもアドラー心理学に通じる教育を施してくれたお陰で兄弟が高学歴となった、ということで、アドラー心理学をご自身の体験を交えて解説されています。

スポンサーリンク

アドラー流の勇気づけ

和田秀樹さんと比べて成績が悪かった弟さん。
中学受験も失敗し、父親も「アホの子」と公言してはばからなかった中、「勉強法さえマスターすれば、東大に合格できる」と根拠のない自信を持てたのはなぜか?

母親だけは弟に対しても、小さいころから「お前は絶対に賢いはずだ」と言い続けていました。
ときには、「うちのご先祖様は、賢い人がいっぱいいたんだよ。頭のいい家系なんだから、お前も頭がいいに決まっている」などと、先祖まで持ち出しては説得していました。
実際のところ、どこまで本当の話なのか、よくわからないのですが・・・。
母親も弟も、よく言えばポジティブ、実のところ脳天気な性質があって、「絶対に東大に行ける」と信じて疑いませんでした。
この根拠のない自信こそ、勉強ができる子にするための一番のカギとなるだけでなく、その後の人生において成功するための最大の要素になる、と私は考えています。

弟さんは、兄が上達した「そろばん」に通うものの、左利きという不利な状況で、たった1週間で挫折。
そんな時、お母様は「不利なそろばんを選択したのが間違いだった」と、すぐに公文に転向させたそう。
子供の能力を信じて疑わない母親の強さが感じられます。

自分のために勉強する

アドラー心理学では、親と子は対等な関係であることが望ましいとされているのだそう。

子どもを褒めるのは好ましい行動ではない、とアドラーは言いました。
褒めるという行為には弊害があります。
「褒める/褒められる」の関係が上下関係に結びついてしまう問題です。
(略)
アドラーは、他人(親も含む)の評価を気にするのではなく、自分でやりたいことをやって成功するのが一番の理想であると考えていました。
ですから、親が子どもに勉強してほしいと思うなら、「親のために勉強を強いる」のではなくて、「自分のために勉強をする」という方向に導いてあげる必要があるのです。

褒めて育てる、というのは、多くの本、サイトで当たり前のように語られています。
根本的に子どもは親に褒めてもらい、と思っているものだから、その気持ちを勉強の動機づけにする、という話もよく聞きます。
私自身は褒めて育てられた記憶がないのですが、ピアノがとても上手な音大卒の知人が「母親が褒めてくれたからうまくなった」と言っていましたので、褒めて育てるのは良い子育てだと思っていました。
ですので、「褒めるのは好ましい行動ではない」というのは、少し意外ですが、「親のために勉強する」のではなくて「自分のために勉強をする」方向に導いてあげるというのは賛同です。

和田秀樹さんがお母様から耳が痛くなるほど聞かされたのは「勉強しないで損をするのは私ではなく、お前たちだ」「勉強をして得をするのは、私ではなくお前たちだ」という言葉。

たとえばテストで良い点を取ったとしましょう。
普通の親であれば、気分を良くしたり子どもを褒めたりするところですが、母親は違いました。
要するに、「勉強をして成績が良くなって、社会的な地位を築くことで、もっとも得をするのは本人なのに、どうして親が子ども以上に喜んだり、子どもを褒めたりする必要があるのか」」というのです。
そして、勉強しないで社会の落伍者となり、野垂れ死にしたとしても、それは自己責任であるから親の関知するところではない、という趣旨のこともよく聞かされました。

和田秀樹さん自身は母親から一度として「勉強をしなさい」と強要されたことはなかった、とのこと。

褒めて動機付けても、そのやる気は長続きしない。
自分が楽しいからやる、自分のためにやっている、と子どもに思わせること。
それが重要なんですね。
和田秀樹さんのお母様の言葉「勉強をして得をするのは、私ではなくお前たちだ」を是非真似して使っていこうと思いました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました