発達障害にも色々なパターンがあり、軽症から重症まで様々なんだなぁとリアリティを持って教えてくれたこちらの本。
長男は発達障害かも?と苦悩する母親、トマコさんの実話です。
マンガで描かれているので、臨場感があります。
これって発達障害?
長男なぁ太くんは、人とかかわることが好きな男の子。
毎日、喜々として幼稚園に行く。
でも、いざ幼稚園に着くと、家ではできるお遊戯もお絵かきも全く参加できない。
円形脱毛症を発症してしまうほど、なぁ太くん自身もストレスを抱える状態。
幼稚園の時に最初の病院の検査では、「性格だ」と診断されます。
読み進めるうちに、「この本、発達障害の本なの?」と思えてくるほど、なぁ太くんの発達障害は微妙です。
それだけに、母親である著者も周囲の意見や本からの情報に戸惑い、苦悩する姿が描かれています。
高機能広汎性発達障害
幼稚園の時に通級指導教室に通っていたなぁ太くん。
通級指導教室とは、幼稚園と並行して通える少人数の幼児教室のようなもの。
そこに通ううち、幼稚園でのお遊戯もできるように。
そして、小学生になったなぁ太くん。
通常学級か特別支援学級かの選択では、通常学級に通いながら通級指導教室(ことばの訓練)、という選択へ。
でも、なぁ太くんの体調不良で特別支援学級を考え始めます。
再度病院で受けた検査では、「高機能広汎性発達障害の特性あり」との診断。
診断名がつくことで良いことも悪いこともあった、ということですが、なぁ太くん自身は通級指導教室で行動面の訓練も受けるようになり、状態が安定してきます。
3人の男の子を持つ著者。
個性の違う子供を育てている著者が、個性とは割り切れないものを感じて動いた結果なので、読んでいて納得がいきます。
特別支援学級に入れない!?
続きが知りたくなり、著者の2作目も読んでみました。
予想とは反して、なぁ太くんの小学校での生活は厳しいものになっていきます。
小学3年生で、授業中に動けなくなり全く授業が受けられなくなってしまったなぁ太くん。
不登校の一歩手前まできてしまい、再び特別支援学級を考え始めた著者。
でも、再度病院で受けた検査で「普通のお子さんと同じレベル」という診断となってしまい、特別支援学級の申請は却下されてしまいます。
今までの経験から、このままではいけないと、模索する著者。
最終的に、別の病院で「発達検査の数値に出なくとも、なぁ太くんは社会性の問題で特別支援学級による個別指導が必要」と診断を出してくれ、特別支援学級に通えることになります。
母は強し!
夫との関わりに不満を持ち、実母や義父母の意見に惑い、自身もうつ状態に陥るまで悩み抜いてきた著者。
それは、子供を愛するからこそ。
子供が将来、社会で自立した人になれるように、と願うからこそ。
なぁ太の心に原因不明の嫌な感情が渦巻いて苦しくても、成長したなぁ太は母に相談しなくなるだろう。
だから、聞いてくれる今のうちに話しておこうと私は思っている。
今のうちから自分の「苦手」をよく知っておくことで、その「苦手」を克服できなくとも、苦しみの原因がそれであると気づきやすくするために。
(略)
マイナス面を口にした時、得意分野と共に必ず愛情を伝えるようになったのは、子どもが自信をなくしてしまうことを防ぐためだった。
母親の愛情なんて、ここまでかかわってたら子どもに伝わっているはず・・・というのは、親の思い込みだ。
日常生活で心が折れた時、不安な考えに取りつかれてしまった子どもは、親の愛すら疑うことがある。
(略)
自分を愛してくれる存在がいると感じることは、いずれ子ども自身を守る大きな後ろ盾になるのだ。
だから、愛情は子どもに分かりやすいほど良いと、私は思う。
あるがままの彼を受け入れようと、私は思っている。
社会と母親の全力サポートを受けて育っているなぁ太くん。
その後、どんな大人に育ったのか、是非続編を書いてほしいなぁ。
発達障害は、知的には問題ないので、社会生活を送れるように上手にサポートをすれば、大成するかもしれませんね。
東大生の4人に1人は、発達障害だと言われていますし。
トマコさんのオフィシャルサイトはこちら↓
コメント