がんセンター長が語る/『子どもと一緒に知る「がん」になるってどんなこと?』レビュー

有名人が癌を告白することも多くなり、身近になってきた癌。
でも、自分や親、兄弟などが癌ではないと、なかなか実感は湧かないものです。
癌の初心者向けの本かしら?と手に取ったこちらの本を紹介します。

著者は、東京女子医科大学がんセンター長。
がん教育を広めるため、特別支援学校自立教科教諭1種免許や中学校・高等学校保健科教諭1種免許を取得されています。
医師でありながら、教育者として数多くの小学校、中学校、高校でがん教育の授業を行っています。

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がん教育

2017年度以降、全国レベルでの「がん教育」の実施が予定されているのだそう。
この本は、がん教育を行う学校の教員や医療関係者、さらには保護者をはじめとする一般の大人の方々にも役立つよう、がん教育の内容が一冊にまとめられています。
母が乳がんになった、父が大腸がんになった、祖母が肺がんになったという3つの実話を、小学生、中学生、高校生を主人公として、日記という形式で描かれています。
「がん」を医療としてではなく、身近なものとして捉えられるよう工夫されています。

がんのデータ

今まで縁のなかったがん。
検診が大嫌いで最低限の項目しか受けていないため、がんに関する検診はほとんど受けていません。
でも、この本を読んで少し心配になりました。

最近の統計では、日本人が生涯でがんになる確率は、男性63%、女性47%であり、実に国民の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなっています。
がんが1cmの大きさになるまで、10〜20年かかります。しかしその後、たった1〜2年で約2cmの大きさになってしまいます。
検診などで発見された早期がんは、肺がんを除き、90%以上の人が治ります。

恥ずかしながら、2人に1人もかかる病気とは知りませんでした。
無症状で10〜20年をかけて進行している。
恐ろしいですね。
とはいえ、早期発見できれば高確率で助かるわけですから、恐れず検診をすることが重要ですね。

がんを防ぐための新12か条

1.たばこは吸わない。
2.他人のたばこの煙をできるだけ避ける。
3.お酒はほどほどに
4.バランスのとれた食生活を
5.塩辛い食品は控えめに
6.野菜やくだものは豊富に
7.適度に運動
8.適切な体重維持
9.ウイルスや細菌の感染予防と治療
10.定期的ながん検診を
11.身体の異常に気がついたら、すぐに検診を
12.正しいがん情報でがんを知ることから

こちらの12か条、がん研究振興財団が日本人を対象とした研究であきらかになった事項を2011年にまとめたものです。
できていないのは、7と9と10ですかね。
私としては、これらの項目に『身体を冷やさない』を入れて欲しいところです。
がんは高熱に弱く、一方、正常な細胞は42.5℃まで耐えられる、という特性を利用した温熱療法ががん治療の一つとして知られています。
かなりの数の被験者を集めなければいけない研究にはなりますが、高温の湯船に毎日浸かった人とシャワーのみの人でがんの発生率が違っていた、なんていう研究結果が出たら、12か条に加えてもらえるのかもしれません。

さて、東京女子医科大学病院の化学療法・緩和ケア科のページはこちら

診療部長からのご挨拶 | 東京女子医科大学病院 化学療法・緩和ケア科
東京女子医科大学病院化学療法・緩和ケア科のウェブサイトです。

医師というメインの職を持ちながら、教育者としても活動されているとは、頭が下がります。

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