我が息子くんが発達障害の兆候がある、というわけではないのですが、保育園で粗暴な子がいて、ADHDの症状ってどんなだろう?と気になって読んでみたこちらの本。
マンガで読みやすい!
小さい頃から大きくなるまで、発達障害の子の親がどんなことで悩んだかが分かります。
発達障害と一口に言っても色々な種類があります。
発達障害は、広汎性発達障害、ADHD、LD(学習障害)の3つに区分され、アスペルガー症候群や自閉症は広汎性発達障害に含まれます。
この本のリュウタくんは、小学校4年生でADHDと診断されます。
今まで読んだことのある、トマコさんのなぁ太くんも君影草のヨシ君も広汎性発達障害。
この本のリュウタくんとは小さい頃からの様子が少し違います。
この本のリュウタくんは、そそっかしくて怪我してばかり。
乱暴で同級生とケンカも多い。
忘れ物や亡くし物が多く、片付けが苦手。
小学校では、心を落ち着けるための一人スペースが特別に用意される。
母親のかなしろにゃんこさん、「育てにくい子だった」と振り返っています。
ガミガミ怒ってしまうこともしばしば。
そんな中、児童教育相談所で紹介された小児心療内科から、ペアレント・トレーニングを勧められます。
親子のコミュニケーションがうまくいくようになるための対処方法を学ぶトレーニング。
子供を変えようとするのではなく、親の意識を変えて、子供が生活しやすいように上手に誘導する方法を学ぶ、というもの。
この本の後半には、悩みが悩みでなくなっていく感覚を掴んだにゃんこさん。
社会に出てから?
発達障害の人は、子供のうちは行政や周囲の大人からサポートを受けて社会生活を送れていても、就職でつまずいてしまうことが多いとか。
かなしろにゃんこさんは、発達障害の人が大人になった時どうなるか、ということを取材した本も出しています。
柳下記子(やぎしたのりこ)さんが代表を勤めるNPO法人「発達障害支援アカンパニスト」の定例会で義務教育以降の選択肢を学びます。
そして、実際に発達障害に理解のある千葉県立船橋法典高校に足を運び、高校での過ごし方を取材。
首都圏の大学にも足を運び、大学での支援状況、実際に発達障害と診断された大学生の過ごし方を描いています。
さらに、難関である就職を障害者向けに支援している「テスコ・プレミアムサーチ株式会社」を訪れます。
この「テスコ・プレミアムサーチ株式会社」、現在は、東京エグゼクティブ・サーチ株式会社のプレミアムサポート事業部に移管されてしまったよう。
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社のHPでは詳細はわからないのですが、テスコ・プレミアムサーチ株式会社の代表だった石井京子さんが活動されているHPがありました。
さて、著者は神奈川県横浜市にある地域活動センター「オフィスウイング」へも訪れます。
ここは、発達障害の人がテープ起こしなどの仕事をしてお給料をもらいながら就労訓練ができる、という団体。
この取材の中で、この団体から民間企業へ就職した人9名のうち、障害者枠で就職した人は働き続けている一方、一般枠で就職した4名は全員離職、という厳しい現実がつきつけられます。
最後は、特例子会社の「東京海上ビジネスサポート株式会社」へ。
特例子会社とは、障害者雇用を進めるために企業が作る子会社。
厚生労働省の認定のもと、全国に2016年6月1日現在448社あります。
平成30年4月1日から障害者の法定雇用率が引き上げになります。
最近では、知的障害がなくても、大人になって発達障害がわかった場合でも、「精神障害者保健福祉手帳」がもらえるそうですので、障害者雇用枠での就職の方が、入り口は広そうですね。
最新本!(2017年12月追記)
さて、かなしろにゃんこさんから、最新本が出ました!
こちらの本、中学生から高校生までのリュウ太くんの様子が分かります。
反抗期でますます大変そうな子育ての様子が伺えます。
お小遣いのこと、進学のこと、赤裸々に描かれています。
お金の教育に『闇金ウシジマくん』の漫画を読ませるあたり、漫画家らしいですね。
この本では、成長したリュウ太くんの困ったエピソードが満載ですが、タメになるものも。
夜中に騒音を出すリュウ太くんに対して「ご近所迷惑でしょ!」と怒るにゃんこさん。
「だからなんで夜に大きな音を出しちゃいけないのさ」と騒音を止めないリュウ太くん。
「迷惑」という言葉が漠然としていて分からないと気づいたにゃんこさんは、「昼と違って夜は音がよく通る」「寝入りばなに音が聞こえたら睡眠の妨げになる」と丁寧に説明すると納得するリュウ太くん。
ADHDの人の「分からない」ポイントは、定型発達の人から見ると「何が分からないのか分からない」。
リュウ太くんのエピソードがすべてのADHDに当てはまるわけではないと思いますが、この本で少しADHDの理解が深まりますね。
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